三億円事件犯人への道

どこで間違ったのか。
バブル期だろうか。その前の安定期だろうか。
いや、それらは、結果に過ぎない。
もっと前。
そう、高度成長期の終わり頃。
それを探すとすれば、そこにあるはず。
そこにあったもの。三億円事件
(とはいえ、実は、深い意味があるわけではない。子供の頃、それほど、遠くない場所で、三億円事件が発生した。そういうことなのだ)
こんどは、三億円事件犯人に挑む。
いったい、どこで間違ったのだろう。どうして、こうなってしまったのだろう。
その答えを求めて、三億円事件犯人に至る道を進んでいく。

三億円事件犯人に至る道

終わりにあたって

ほんの遊興のために、世界の果てまで行く者もあれば、貧に窮し、わずかな移動も、ままならぬ者もいる。
自分は、後者だ。したがって、たまの休日にどこかに出かけて、写真を撮ることは、もう、できない。
いまは、1%の富裕層と99%の貧困層の時代。自分は、貧高層の代表。
よく整備された、美しいオフィスビル群、見上げるほどの巨大な高層住宅。でも、そこに、自分が、いるわけではない。貧困層だもの。当たり前だよな。
それなのに、そこに行って、高層ビルの写真を、撮ることで、あたかも、そこに、参加しているような気になって。
でも、残念ながら、そんなことすら、もはや、できなくなってしまった。
貧困層には、そんな余裕すら、許されていない。
高度成長をなしとげた後の安定期、バブル期は、違った。
自分の身の回り、公園は整備され、街は発展し、そこには輝かしい未来があった。
どうでもいい、公園には、妙なオブジェ。この程度のオブジェを制作していても、身の置場があるという安心感。
いまは、どうだろう。
まわりには、シャッター街。駅近くのショッピングセンターは、まるで、寂れ果てた地方都市。それほど、都心から離れてはいないのだけど。
いったい、どこで間違ったのだろう。どうして、こうなってしまったのだろう。

山手線新宿駅(西新宿三丁目 西参道口交差点)

西新宿三丁目 西参道口交差点

ネコには、再開発は、関係ないようだ。
住宅地の中、南へ。来た道を、引き返す。
再び、甲州街道
東へ。もう帰らなければならない。
日が暮れそう。
正月なので、静かな、日暮れ。
最初の日暮れか。とすると、昨日の日暮れは、最後の、日暮れ。
日暮れは、最後の方がいい。日が暮れて、もう、おしまい。そっちの方が、いい。
そういえば、ネコには、再開発は、関係ない。ならば、自分にも、関係ないのだな。
夕暮れ前、急いで、駅へ向かう。
(2014年1月記)

山手線新宿駅(西新宿三丁目 住宅地の中のネコ)

西新宿三丁目 住宅地の中のネコ

あちこち、更地のある、住宅地を、歩いていく。
ふと、下を見ると、ネコ。
なるほど、こんなところに、ネコは、引っ越していたのか。
再開発される前の、更地にしか、生息できないわけではないので、近場にでも、いい場所が、あれば、移ってくるだろうな。
そんな場所、いくらでも、ありそうだし。
たとえ、ここらへんが、再開発されたとしても、また、どこかへ、移ればいいのか。
(2014年1月記)

山手線新宿駅(西新宿三丁目 住宅地の中の更地)

西新宿三丁目 住宅地の中の更地

住宅地、北へ歩いていく。
いちおう、更地は、ところどころにあって、いかにも、再開発されそうな感じ。
でも、具体的ではない。
かつての、計画の、夢の跡かもしれない。
まあ、ここらへんなら、とりあえず、初台駅は近いし。便利かもしれない。再開発されても、不思議ではない。
とはいえ、山手線の外側は、やはり、遠いといえるかも。
微妙ではある。
ただ、ここが、実際、再開発されれば、西新宿では、最後かも。
新宿駅周辺に、いくらでも、再開発できそうな、場所はあるからだ。
再開発は、拡散せず、集積する。
(2014年1月記)

山手線新宿駅(西新宿三丁目 住宅地)

西新宿三丁目 住宅地

甲州街道を西へ。
しばらくして、途中、北へ曲がり、そのまま、住宅地の中、北へ向かう。
ここらへんは、たしか、バブルの頃、高層ビルが建つ予定だったのだ。
西新宿高層ビル街の、飛地みたいなものか。
ちょっと、違ったのは、住宅地、ということ。
ただ、バブルの頃ともなると、高層ビルの建設用地、住宅地に、広がってきたのだ。
だから、住宅地でも、よかったとも、いえる。
計画だと、日本一高い、高層ビル。
でも、結局は、建たなかったようだ。
都心から、離れ過ぎていたのかも。再開発は、都心に、集中するようになる。
その次は、高層住宅が、建つ計画。
景気が上向くたびに、計画が、出てくるのであろうか。
こちらも、いつしか、どうなったことやら。
(2014年1月記)

山手線新宿駅(西新宿三丁目 甲州街道)

西新宿三丁目 甲州街道

十二社、南へ南へと、歩いていく。
しばらくすると、東西に伸びる、甲州街道
江戸時代の前、開通したようだ。
江戸城、新宿、府中、八王子。
江戸城があって、はじめて、甲州街道は、幹線道路になりうる。
新宿も、甲州街道の宿なので、江戸城があって、初めて、成り立つ。
太古の道ではなく、比較的、新しい、道といえるのかも。
さらに、東京の西側、郊外が、形成されると、甲州街道、ますます、往来が、激しくなる。
西側、郊外のための道路、でもある。
新しい道路、ということだ。
(2014年1月記)