赤坂一丁目・アークヒルズ(全日空ホテル)

全日空ホテル

南側へ坂を登っていく。
六本木通りに面している全日空ホテルの裏側に出る。
人影もほとんどないテラスはわびしいかぎりだ。
たれこめる厚い雲の下、椅子やテーブルだけが並べられている。
バブル景気が始まる直前、数字上は豊かだが、生活は少しも豊かではない日本の東京、その中でもとりわけ陰気な谷筋に面したこの斜面に、高層オフィスビル、高層ホテル、住宅とセットになった、都市再開発が完成する。
あなたの経済力に相応しいもの、目指してきたもの、1000年王国の姿こそが今ここに出現しました、ということだったはずだが。
でも、この台地の坂道を登る足取りのなんとも重々しいことか。
あいかわらず寂しい雰囲気のテラスを見るとそう感じてしまう。
(2006年7月記)