品川グランドコモンズ(三菱重工ビル)

三菱重工ビル

さらに南側に三菱重工ビルが聳える。
ビルを順番に見ていっているだけなのに、もう品川駅からは離れた感じになるのは、八ツ山橋の陸橋が近いからかな。
JRの西側を通る第一京浜が線路を越えるのだが、いかに西側が高台で、その高台がせり出しているかがわかる。
そしてこの八ツ山から御殿山にかけての台地を削って、その土砂を埋立てに使い、鉄道が敷かれた。(なお最初の品川駅は八ツ山下でその後20年経って現品川駅に移っている)
これが港南の埋立ての第一歩になる。
最初は高台しかなかったが、目黒川流域や品川の海岸の埋立て地の開発で、いつしか山の手と下町ができる。
むかし、「天国と地獄」という日本映画があった。下流に住む人間が金持ちを狙った誘拐事件を引きこす話(横浜が舞台)だが、下町を地獄、山の手を天国、と感じたとき、事件が成り立つということだろう。
港南から見上げる、御殿山から白金台と北に広がる緑豊かな山の手、はたして天国に見えるだろうか。
そして、港南につぎつぎと聳え立つきらびやかな高層ビルを見上げて、そこに天国をみるだろうか。
下流の下町が海岸を埋め立てただけでできたという記憶があるかぎり、たかが誘拐事件ごときで天国を夢見ることができただろう。でも今はただそこに怪物のように聳え立つビルをまぶしそうに少しみあげるだけなんじゃないかな。
(2006年8月記)