東京駅・八重洲(パシフィックセンチュリープレイス)

パシフィックセンチュリープレイス

白金高輪駅からふたたび南北線、永田町で有楽町線に乗り換える。
有楽町駅で下車。北へ。東京駅の南、パシフィックセンチュリープレイス
バブル崩壊後、失われた10年の中で建てられる。
八重洲口の国鉄の土地が売りに出されたとき、香港のPCCWが当時、法外と思われた高値で買収、高層オフィスビルの建設計画を発表する。
そのとき、あるテレビの報道番組を見ていたのだが、日本人の識者たちが皆、バカにして失笑していたのをいまでも覚えている。
しかし、今、東京駅に立って周りを見渡すとどうだろうか。
丸の内にはすでに丸ビルが聳え、新丸ビルも竣工間近、大手町も高層ビルの着工がもうすぐ、日本橋口、八重洲口でも巨大な高層ビルが建設中だ。
だから、香港の実業家は先を見る目があり、日本人の識者たちは愚かだ、ということではない。
もっと視野を広げるなら、今、同時に地方は滅び、貧富は社会を上下に二つに引き裂き、下流はもはや上を見上げることはできない。
これが今の現実の日本であり、その現実に辿り着いただけなのだ。
つまり、時代の流れということだろう。
パシフィックセンチュリープレイスが、2000億円で売却されたというニュースをしたり顔で語り、香港の実業家の手腕に感心してみせる者がいるかもしれない。
だが、その水面下でゆっくりとまた時代がひとこま動いていく。
(2006年8月記)