田町駅東口芝浦(芝浦アイランド エアタワー)

芝浦アイランド エアタワー

通りの北側には芝浦アイランド エアタワーが聳える。
もとは都電(路面電車)の芝浦工場があった。
都電が運河を渡った橋、船路橋が北に向かって伸びている。
近い将来、新しい橋に架け替えるらしいが。
明治時代初、馬車鉄道が都市部に広がったが、明治時代末、急速に路面電車に取って代わる。
そして、高度成長期、クルマ、地下鉄の普及とともに、路面電車は消滅していく。
もう一つ、道路事情がそこそこによくなって、徒歩で行ける範囲が広がった、という理由もあるのではないかと思っているのだが。
路面電車というとのんびりした旅情を誘うものらしいが、実際は高度成長期前のあわただしい時代の産物のような気がする。
例えば、今でもまだ残っている荒川線だが、乗客が多すぎて、そのままドアを開けないで駅をとばしていく、そういった光景に何度も出会っている。
かつて芝浦が活気のある下町だった頃、島には路面電車の工場があり、そこから車両が各地域の路線へ配備されていった。
路面電車は忙しく駆け回り、貧しいが将来の夢を持つ人々を運んだ。
日本が豊かになり、工場も消えたころ、路面電車も消える。
そして、路面電車の工場の跡地には、運河に囲まれた、緑あふれる、整備された最新の高層住宅が聳え立つ。
かつての下町、芝浦は、すっかり静かになり、きれいな高層住宅が建っていくのだ。
そんな場所から、いまだにごみごみした下町に残っている、がたごと走っている路面電車を見る。そうして、のんきな電車だと、心を和ませているのだろうか。
(2006年10月記)