田町駅東口芝浦(芝浦アイランドA-3棟)

芝浦アイランドA-3棟工事現場

通りの南側、グローヴタワーの東側には、芝浦アイランドA-3棟が建設中だ。
同時に温泉を掘削中らしい。
さらに島内を一周する遊歩道もでき緑の島を散策できるということだ。
春には植樹された桜が咲き、水辺は桜色に染まることだろう。
まさに都心の中の桃源郷だ。
そんな場所が山手線の近くにできる、というわけだ。
かつてはトラックが行きかい、そのために常に土ぼこりが舞い上がっていた、工場、倉庫の下町が変われば変わるものだが。
大正時代、芝浦運河を挟んで東側に日本初のプロ野球チームの球場、芝浦球場があった(現在の埠頭公園があるあたりらしい)。
むろん当時のアメリカの野球を輸入したのだろう。
野球がアメリカで根付いた背景には、工場労働者の増加とアジア、ヨーロッパからの大量の移民の流入がある。
このような大勢の貧しい移民や労働者たちに夢と自信、そしてなによりも規律と勤勉さを与えたのが野球だそうだ。
その時代、日本も同じだったのだろうか。芝浦の埋立て地に野球場を作りたくなる気持ちもわかる気がする。
その芝浦球場は、数年後に起きた関東大震災の混乱であえなく消滅する。
しかし、その後もプロ野球の流れは途絶えることなく、徐々に大きくなり、現在に至っている。
この運河のむこうに、かつて、沸き立つような歓声と熱狂が響き渡った。そんなことは現在の静かな芝浦からは想像できない。
工事が終われば、緑が溢れる穏やかな島になるだろう。運河をときおり屋形船が通るだけだ。
でも、よく耳を澄ませば、運河の向こうに、あのころの歓声がまだ聞こえるような気もする。
(2006年10月記)