京葉線海浜幕張駅北口(富士通幕張システムラボラトリ)

富士通幕張システムラボラトリ

NTT幕張ビルの西側には、富士通幕張システムラボラトリがある。
このビルもバブルの終わり頃に竣工している。
たしか、鳴り物入りで、富士通ドームシアターという映画館のような施設がオープンしていた。
画期的な施設で、全天周立体フルカラー映像を楽しめるらしい。
もっとも、どうして、「全天周立体フルカラー映像」なるものが楽しいのか、一向にわからないのだが。
バブルの頃は、なんでも楽しかったんだろうなあ。
なにせ、六本木のアークヒルズができたときは、サントリーホール、というのが併設されていて、こちらも鳴り物入りでのオープンだったと思う。
当時、クラシック音楽なんて、ちっともわからないのに見にいってしまった。
もちろん、富士通ドームシアターも心の隅にはひっかかっていた。
たぶん、近くに住んでいたら、見にいってただろう。
あの頃は、時代が進めば進むほど、すべてがよくなるような雰囲気に満ちていた。
だから、時代を少しでも先取りすれば、よくなっているであろう未来を実感できたのだろう。
楽しい書籍の次のページをめくる時のわくわくした感覚だ。
そのような感覚、未来へ向かう時代のうねりを誰もが共有できたのかもしれない。
今では、そんな感覚はなくなって、明日が今日の続きであることすら保障できない、そのような不安な状況になっている。
未来というものは、ただの勝ち組へのご褒美になってしまったのかな。
ということで、わずかでも、あの当時の、未来へのわくわく感を実感したくて、富士通ドームシアターでも行ってみようかなと思ったりもしたのだが。
休館だか閉館だか、わからないけど、もうそんなものはなくなっていた。
やはり、バブルの夢の跡。
未来、というものも、遺跡になって古びていく。
残っているのは、そこに立ち尽くす、自分の姿だけなのだろうか。
(2007年9月記)