京葉線海浜幕張駅南口(ホテル・ザ・マンハッタン)

ホテル・ザ・マンハッタン

ホテル群の東側には、ホテル・ザ・マンハッタンがある。
竣工は、同じくバブルの頃だ。
幕張新都心のホテル棟は、けっこう、ユニークなデザインが多いが、その中にあって、このホテル・ザ・マンハッタンのユニークさが筆頭だろう。
おとぎの国にあるような建物をそのまま高層ホテル棟にしたみたいだ。
本当にメルヘンの世界だ。
この妙な形をした建物を見ていると、このビルが生まれたバブルの頃を思い出す。
あの頃が、高度成長を成し遂げ、安定期に入った日本のある到達点、ということなのだろうか。
世界一の経済大国、日本。
何の不安もない世の中。将来は、どんどんよくなっていく。
未来は、果てしなく明るい。その明るい未来が待ち遠しかった。
世界中が、日本のようになればと本気で思っていたなあ。
それが、何かの拍子で、ごろごろと坂道をころがり落ちていく。
どうしようもなく、なんだかわからないうちに、ごろごろと落ちていくのだ。
結局、落ちるところまで落ちていく。それでも、ふと、これは何かの間違いか悪い夢に違いない、と思いこむ。けれど、もがけばもがくほど、今度は、ずぶずぶと深みにはまっていくだけ。
いくらもがいても、一向に埒があかない。
そのうち、もうすっかり諦めてしまう。
そして、あの到達点を見上げるのだ。
そこには、メルヘンの世界。おとぎの国の建物。
何かの悪い冗談ではない。
本当に、あの頃の出来事がメルヘン、おとぎ話だったのだから仕方ないのだ。
(2007年9月記)