つくばエクスプレスつくば駅南口(つくば三井ビル)

つくば三井ビル

守谷駅に戻り、再び、つくばエクスプレスに乗る。
列車は、ひたすら、つくばを目指して走り続ける。
途中、万博記念公園駅、というのもある。
そういえば、科学万博、というのもあったなあ。
バブルの最初の頃だ。
あの頃、つくばエクスプレスがあったらどんなに便利だったろう。
たしか、常磐線の臨時駅からバスだったと思うのだが。
でも、そんな辺鄙な場所にもかかわらず、大盛況だったのだ。
やはり、バブルだったからだろうか。
そんなことを思い出していると、もう、終点のつくばに到着する。
さて、どんな街なんだろうか。
降り立って見ると、なんか、妙に洒落た街並みで驚いてしまう。
都心から、遙かかなたの僻遠の地に、なんで代官山みたいな街が広がっているのやら。
南へ歩いて行くと、つくば三井ビルがある。
竣工は、こちらも、バブルの頃だ。
バブルの頃は、本当に夢の人工都市だったんだろうなあ。
その夢を乗せて、科学万博が開催され、高層ビルも1棟建った。
でも、今、その人工都市を見回してみると、これがあの当時の夢だったのか、と思ってしまう。
未来の人工都市がいつの間にか、おしゃれなリゾート地になってしまったからだ。
現在のこの街こそが、未来への終着点なのか。
つくば駅に戻り、つくばエクスプレスに再び乗り込む。
すっかり日が落ちた漆黒の中を秋葉原に向かって列車は疾走していく。
車窓の景色は、すっかり宵闇に閉ざされてしまった。
だからだろうか、まるで、終点のつくばを越えて、列車は、さらにさらに未来へと疾走しているような錯覚を覚えた。
まだ、あの頃の夢を目指して走り続けているのだ。
けして格差社会の勝ち組に対するただのご褒美のために未来があるんじゃない。
未来を目指して走り続ける。
(2007年10月記)