都営新宿線船堀駅(トキタワー)

トキタワー

高田馬場駅から東西線
九段下駅で都営新宿線に乗り換える。
地下鉄なのだが、荒川の手前で地上に現れる。
そして、荒川を鉄橋で渡ると対岸には船堀駅
船堀駅で下車。
駅南口には、すぐ目の前にトキタワーがある。
竣工は、バブルの終わり頃だ。
荒川の反対側の岸、小松川、大島の再開発と呼応していたのだろう。
船堀駅、というと、かなり昔、夏に花火大会を見にいったことを覚えている。
バブルの頃ぐらいだろうか。だから、ひょっとしたら、トキタワーは、まだ、建っていなかったかもしれない。
その花火大会、というのは、実は、江戸川区花火大会だったのだが。
場所が、まったく違うのだけど、東京の西側に住んでいる自分としては、荒川も江戸川も一緒だった。それに、落ち合った千葉県に住んでいた同僚を信じていたし。
だが、千葉県に住んでいても、やはり、荒川も江戸川も同じだったのかも。
船堀駅の北側にある江戸川競艇場付近まで行って、そのあたりをうろうろしていたが、花火大会の雰囲気がまったくない。
どこか根本的に勘違いしているな、と気付いて、付近のお店に聞いたら、笑われてしまったな。
さっそく船堀駅まで行ったのだが、その頃には、浴衣姿の花火見物客が駅周辺にたくさん集まっていた。
その見物客の群集に押されるように、改札を通り、都営新宿線の車両になだれ込む。
篠崎駅で降りて、暗くて、右も左もわからない住宅地の中を、ぞろぞろと歩いていくのだ。
やがて、前に立ち塞がる堤防。その堤防を登っていくと、その先は河川敷なのだが、すでに、その河川敷には、大勢の見物客がひしめいていた。
堤防の上を、またしても、大勢の観客に押されるように北へ北へと歩いていく。
その先には、どーん、どーん、という音と共に、花火が夜空に煌いていた。
花火は、むろん、とても迫力があって、美しかったが、何よりも、このお祭りのような、見物客の熱気をよく覚えている。
夜空に大きく広がる閃光。轟き、響き渡る大きな音。そして、その光景を見る大勢の観客の興奮。
花火大会も終わって、あたりは、急に静かになって、また、真っ暗な住宅地の中をぞろぞろと篠崎の方へと歩いて戻っていく。
花火大会なんて、あれ以来、見ることも、なくなってしまったな。
祭りの後の侘しさ。
あれ以来、ずっと、その侘しさが続いているような気もする。
(2008年7月記)