京浜東北線桜木町駅(みなとみらい21中央地区42街区)

みなとみらい21中央地区42街区

グランモール公園を、北へと歩いていく。
しばらく歩くと、東西に伸びる、幅広のいちょう通り。
その通りの北側には、みなとみらい21中央地区42街区の工事現場がある。
この不景気の最中、よく工事を始めたものだ、と感心してしまうが。
もっとも、計画は、景気がよかった頃にたてられたので、中断しようにも、それは、できなかったのだろう。
不景気だろうが、恐慌だろうが、工事に突入してしまったのかな。完成した頃には、景気が回復していることを、祈って。
そういえば、ちょっと前の、好景気、なに景気って言うんだっけ。
すごく長い、好景気だったらしいことは、覚えているのだが。
今となっては、もう、ぼんやりとしか、記憶にない。そうか、ぼんやり、で思い出したが、「かげろう景気」、と言うんだったな。まさかね。
たしか、バブル景気の頃だったか、もはや、景気循環は、コントロール可能で、未来永劫、不況は、やってこないだろう、などという、考えが、まことしやかに、語られたものだ。もちろん、信じてしまったけど。
あるいは、不景気も、ソフトランディング、軟着陸、なんて、言葉が使われていた。
今回の、崖を転げ落ちるような、不景気到来を、軟着陸、とは言わないだろうなあ。
いや、通常の不景気の真っ只中でも、軟着陸だ、なんて、あり得ない。
そんなことは、すべて、好景気の浮かれた頭で作り上げた、まぼろし、たわ言、あるいは、耳障りのよいペテン、なのだ。
だが、悪いことに、景気がいい時は、その、まぼろし、たわ言、を真に受けてしまうんだな。性懲りもなく。
そして、気付いてみたら、ぐずぐずと、坂道を、滑り落ち始め、さらに、もう、どうしようもなく、がらがらと、崖を、転がり落ちていく。
いつも、同じだ。
そんなことを続けていて、後に残るのは、ビルぐらいだな。
目の前の、工事中の高層ビルも、えらく景気の悪い時期に、めげずに、建てていた、という記憶が、少しは残るだろう。
ところで、今回の不況、なに不況、ていうんだろうか。まだ、名前は決まってないのかな。
(2009年3月記)