ゆりかもめ有明駅(有明駅から北東側を臨む)

有明駅から北東側を臨む

エスカレータで高架上の有明駅駅舎へ。
有明駅から、北側を眺めやると、一望のもと、果てしもなく広がる、荒涼とした、原っぱを見渡すことができる。
この広大な原っぱの中、遙か遠くには、できたばかりの、高速晴海線の、ジャンクションと、北へ伸びる、高架。
他には、何もない。あるのは、原っぱだけだ。
いったい、ここに街ができるのは、いつのことだろうか。
すぐには、変わりそうに見えないな。
ひょっとして、オリンピックでも、来れば、少しは、変わるかもしれない。
けど、やはり、なんか、永久に、このままのような気もする。
もっとも、こんな場所、臨海副都心では、ここだけではない。むしろ、ほとんどが、このような、感じだ。
もともとは、江東区埋立地なんだから、当然、と言えば、当然なのかな。
そのような荒野の中を、ゆりかもめが、ゆっくり、ゆっくり、と走っていく。
ゆりかもめに乗ったとき、窓外の景色を眺めながら、思い浮かべるのは、バブルの頃の、臨海副都心の未来予想図だな。
建造物が、隈なく点在し、未来都市そのものだった。あるいは、SF的な世界、というところだ。
こんな都市が、出現したら、本当に、どうなってしまうんだろう、なんて、思っていたものだが。もちろん、出現することはなかった。
出現したのは、広大な、原っぱだけ。
つまり、始まる前から、終わっているのだ。
そんな荒涼とした風景なのだが、バブル崩壊の後に現れた、格差社会の中では、むしろ、癒しの場所なのかもしれない。
なぜなら、最初っから、終わっているのだから、競争なんて、あり得ないし。だから、格差も関係ないからだ。
でも、そう考えると、廃墟が癒しの場だなんて、今の時代、ちょっと、悲しすぎるような気もする。
(2009年3月記)