都営大江戸線都庁前駅(都庁西側の濠)

都庁西側の濠

再び、階段を降りて、中央通りへ。
中央通りを西へ歩く。
すぐ南側には、都庁の巨大な建物が聳え立っている。
さらに西へ行くと、南北に伸びる、公園通り。
ここで、中央通りは、行き止まりとなる。その先には、新宿中央公園の水の広場が広がっているだけ。
公園通りに入って、南へ向かう。
今度は、都庁の西側に沿って、進むことになる。
ふと、都庁と歩道との間に目をやると、建物に沿うようにして、凹地が伸びている。
たぶん、本来は、そこに、水が張ってあるのだろう。
つまり、都庁を取り囲む、濠をイメージした、装飾的な建造物なのだ。
地図を見ても、都庁のまわりを縁取るように、水色の部分が、表記されている。
地図上でも、この凹地に、水があることになっているわけか。
ただ、今、見ると、もう、水はなくなっているけど。
完成したのは、おそらく、都庁舎と同じ、バブルの頃。当時は、美しい水辺の風景を、演出していたのだろうな。
でも、ここだけではないけど、このような水辺を模した建築物は、数年で、放棄されてしまうようだ。
汚れてしまった場合、清掃して、元の状態に戻すことが、面倒なのだろう。
それに、すぐに、水自体が、黒くなってしまったり、水面に、ゴミが浮いたりするし。
また、建造物の表面も、水に接しているので、短時間で、汚れてしまう。
それでも、最初は、何度か、清掃しては、水を張り、ということを、していたのかもしれないな。
ところが、一度でも、その清掃が、延期されてしまうと、もはや、手が付けられないほどに、汚れが進行してしまう。
そこで、誰某が、水が張ってあるから、すぐに汚れるし、清掃も、面倒なのではないか。ならば、最初から、水を抜いておけばいい、と具申するわけだ。
なるほど、そういうことなら、汚れないし、汚れても、清掃は、格段に楽になる。
ということで、今のような、空濠状態になったのかな。真相は、わからないけど。
でも、もとの美しい水辺の風景は、どこへ行ったのやら。
その場限りの、熱狂的な、理念とは、えてして、こうなる運命なのかもしれない。
(2009年5月記)