都営大江戸線都庁前駅(都庁西側の古びたオブジェ)

都庁西側の古びたオブジェ

さらに、南へ歩くと、都庁の壁際に、オブジェがある。
最初、見たときは、なかなか、いい雰囲気を、醸してるな、と思ったものだが。
見慣れてしまうと、風景の一部となってしまうものらしい。
そして、さらに、時が過ぎると、もう、忘れ去られてしまうのかな。
ちょっと離れた場所から見ても、ものすごく、汚いんだけど。
誰も、清掃することもなく、放置されているようだ。
水辺の風景は、最初から、水がなかったことにすれば、いいのだけど、汚れたオブジェは、このまま、というわけにはいかないだろう。
でも、忘れ去られているので、このままなのかな。
このオブジェ、都庁が完成した頃に、設置されたはずだから、もう、20年、経とうとしている。
あの頃は、バブル、日本の絶頂期、坂の上、だったな。
そういえば、自分の住んでいる、辺鄙な郊外にも、よくわからない、オブジェが、設置されたっけ。
オブジェの真価は、別としても、オブジェが設置されたということで、世の中が、本当に豊かになったんだな、と実感させられたものだ。
バブル期より以前は、こんな風に、地方が、劇的に変わっている。
同じ頃、ふるさと創生一億円事業なんてあった。さすがに、行き過ぎかと思ったけど。
なんとなく、よくない予感もしたし。
妙なオブジェが、あちこちに、設置されたり、生活が、なんとなく、よくなったり、それなら、いいと思う。
ただ、無意味に、一億円をばらまく、というのは、どうなんだろう。
そんな、のんきな時代もあったのだが、この、目の前の、汚れ放題のオブジェと同じように、安穏な生活、というのも、忘れ去られてしまったようだ。
高度成長の目的とは、そもそも、安穏な生活だったんじゃないのかな。
いつの間にか、勝ち組だ、負け組だ、という格差社会の価値基準の中、豊かな生活が、どこかに、いってしまったのだ。
このオブジェのように、汚れて、どこかに、放置されているのかもしれない。
(2009年5月記)