京浜東北線桜木町駅(野毛坂にある横浜市中央図書館)

野毛坂にある横浜市中央図書館

野毛坂を上っていくと、途中、通りの南側に、山の手にありそうな、高級マンション。
なかなか、落ち着いた、山の手に相応しい、外観に、思わず、惹きつけられてしまう。
規模は大きいものの、派手ではないし、高い建物ではないのに、存在感がある。
実は、この豪奢な建築物、高級マンションなどではなくて、ただの図書館なのだ。
オープンしたのは、バブルの終わり頃。みなとみらいに、ランドマークタワーが、完成した時期と同じかな。
最初、見たときは、本当に、驚いてしまったなあ。
入ってみることは、しなかったけど。
この建物は、図書館なんだ、と教えられなければ、気付かないところだった。
ただ、当時は、まだ、バブルの雰囲気が、満ちていたので、このような、図書館があっても、豊かな世の中になったものだ、という感覚だったけど。
そして、これからも、この延長で、あちこちに、こういう、公共の施設が、増えていき、当然のような、存在になるのだろうと、思い込んでいた。
その時、外から見ると、たしか、喫茶スペースが、見えていて、そこで、ゆったりと、飲み物を、手にした、利用客が、何人かいたように、記憶している。
誰もが、このような施設の中で、無料で、時間を過ごせるわけだ。
バブルの頃は、ようするに、豊かさが、偏在してしたのだな。
今とは、まったく、違う。
こんな豪華な図書館、もう、あちこちに、作るということは、ないだろう。
そもそも、偏在させるほど、豊かではないし。
だからといって、豊かさのみを、今までどおり、求めれば、社会が、歪んだ、ものになるはず。それが、今の世の中だ。
でも、どうなればいいのか、わからない。
少なくとも、偶然、転がり込んできた、豊かさを、今度は、社会を歪ませてまで、維持しようとするのは、馬鹿げているんじゃないかな、とは思うけど。
自分としては、図書館なら、地方の、古ぼけた、公民館みたいな建物で、十分なんだけどなあ。
なんて、個人的に思っていても、仕方ない。
(2009年8月記)