京浜東北線桜木町駅(野毛山公園)

野毛山公園

野毛坂を、さらに、上っていく。
上りきったところが、野毛山公園かと思ったら、横浜市中央図書館の、野毛坂を挟んで、北側から、すでに、野毛山公園らしい。
坂の途中にあるので、その部分も、当然、斜面になっている。
ちょっと、入ってみたら、幕末に活躍した、佐久間象山の碑を見つけた。
なんで、こんなところに、というと、実は、横浜開港を献策し、働きかけたのが、佐久間象山だったらしいのだ。横浜にとっては、佐久間象山なかりせば、といったところか。
再び、野毛坂に戻り、上り始める。
やっと、頂上。南側に歩いていくと、広場がある。
この広場は、覚えているなあ。
高校生の頃、遠足で来たのだ。
遠足、といっても、ちょっと、遠足らしくない、遠足だったな。
自分の住んでいるところから、ここまでは、ある程度、遠いのだが、高校自体が、神奈川県にあったので、横浜だと、かなり、近場になるからだ。
当初は、なんという、手抜き遠足なんだ、という、学生の声が多かったな。しかも、コースも、自分たちで考えなければならなかったし。
だが、蓋を開けてみると、この、近場遠足、意外と、楽しかったりする。当日は、たしか、小雨が降っていたのだけど、それでも、だ。
ただ、どこを、訪れたのか、今では、ほとんど、忘れてしまった。
覚えているのが、大桟橋埠頭と、この、野毛山公園の広場。
野毛山動物園にも寄ったはずだが、なんか、動物がいたな、ぐらいしか、印象にない。
その後、この、広場に、辿り着いたのだ。
そして、誰かが、持ってきていた、ゴムボールで、なんと、手打ち野球が始まってしまった。
なにも、こんなところに来てまで、などという、疑問は、少しも感じなかったな。
まさに、若さゆえの、傍若無人、不遜、といったところか。
遠足を、ぶち壊しに、したかったのかもしれないが。でも、それが、結局、楽しい思い出になるのだから、妙なものだ。
時代は、バブル期前の安定期の頃。
まだ、横浜には、みなとみらいも、ランドマークタワーも、さっき、訪れた、横浜市中央図書館も、なかった。
でも、不遜な高校生にとって、遠足の途中で、手打ち野球に興じることが、何よりも、素晴らしく、それで、十分だったに違いない。
(2009年8月記)