有楽町線辰巳駅(都営辰巳一丁目団地)

都営辰巳一丁目団地

南北に伸びる大通りを、北へ歩いていく。
この大通り、いちおう、晴海通りなのだが、晴海通りは、晴海で、折れ曲がり、豊洲まで、迂回しているので、交通の便は、よくない。だから、クルマは、あまり、多くない。
もっとも、これで、交通量が、多かったら、近未来都市、東雲キャナルコートを造成しようなんて、思わないだろうな。
東雲キャナルコートの北端に、達したところで、東へ曲がり、そのまま、東へと進む。
やがて、辰巳運河。辰巳橋で、運河の対岸へ。
その先には、団地が、果てしなく、広がっている。
都営辰巳一丁目団地だ。
この団地が、完成したのは、高度成長期、真っ只中。
懐かしいなあ、なんて、今、自分が、住んでいるところも、たいして、変わらない。
いや、まだ、この団地には、商店が、残っている、という点は、違うかな。
どこの団地も、そうだろうけど、団地内の商店なんて、全部、シャッター通りになっている。
こんな風に、商店が、残っているなんて、ましな方かも。
そういえば、当時、団地こそが、近未来都市だったな。
いつしか、時代に、追い越され、今は、すっかり、古ぼけてしまった。
近未来都市に、住んでいたとしても、未来に、行けるわけではない、ということか。
でも、未来への夢が、共有できただけでも、よかったかな。
そもそも、何百年も先の、未来を見れるわけもないし。それでいいのだ。
今は、こうして、のんびりと、運河の先、新しい、近未来都市を、高みの見物。
まるで、堤防の上、寝そべっている、あのトラネコのように。
春の、暖かい陽射しの下、まどろんでいればいい。
(2010年3月記)