南北線白金台駅(白金六丁目 丘の上の原っぱ)

白金六丁目 丘の上の原っぱ

西へ西へと歩いていくと、首都高目黒線の高架。
今度は、高架下を、南西へと、進んでいく。
しばらくすると、南へ伸びる、広々とした通り、外苑西通り
ここらへんだと、もう、山の手の雰囲気。
さっき、通ってきた、庶民的な商店街とは、まるで、違う世界だ。
外苑西通りから、東側、住宅地の中へ。
急な上り坂を、ぐんぐん、登っていく。
頂上と思しき、台地の上に、辿り着くと、果たして、そこには、原っぱが、あるだけ。
なんだって、こんな場所に、原っぱが、広がっているんだろう。
想像もしていなかったので、しばし、呆然としてしまう。
実は、この近く、神応山、という丘があって、かつては、神社が、あったそうだ。(ちなみに、雷神社という名前で、直接、稗田神社とは、関係なさそう)
ひょっとして、何か、手掛かりでも、と、思っていたんだけど。
なんだか、この、原っぱのおかげで、そんな考え、すっとんでしまった。
しばらく、立ち尽くしていると、その前を、茶色のネコが、ゆっくりと、歩いていく。
そして、原っぱの草叢に、がさがさと、入り込んで、消えていった。
ネコにとっては、稗田神社も、白金山の手住宅街も、関係ないことなんだろうな。
とにかく、この場に、こうしていても、仕方がないので、帰ることにする。
今度は、下り坂、南へ南へと、下っていく。
稗田神社なんて、もう、跡形も、ないのかもしれない。
遠い昔のことだし。
そんなことを考えているうちに、東西に伸びる、目黒通りに、降り立つ。
再び、周囲には、山の手の雰囲気。
その雰囲気に気圧されてしまったものの、この山の手を登った先には、原っぱが広がっているなんて、誰も、知らないだろう、と思うと、なんか、どうでもよくなってしまう。
そのことを、知っているのは、あの、ネコぐらいかな。
西へ向かい、白金台駅へ。南北線で帰る。
(2010年5月記)