秋葉原(秋葉原ダイビル)

秋葉原ダイビル

曳舟駅に戻り半蔵門線錦糸町総武線に乗り換える。
秋葉原で降りる。
駅西側に秋葉原ダイビルが聳える。
最近、変貌著しい秋葉原だがまだしばらくは変わっていくだろう。
それにしても秋葉原のビル群を秋葉原クロスフィールドとはうまく名付けたものだ。
たぶん、クロスしている駅舎からイメージしたのかもしれない。
高架の駅が空中で交差している様は、子供の頃、初めて目にしたのだが、最も奇妙な光景として記憶に残っている。(もはや今見ても奇妙とは思わないけど)
もっとも鉄道の路線がクロスしたところで何かインパクトのある事が発生するとは思えないのだが。
おそらく、クロスとは、高層ビルから見て、富の集積、そして、電気の街というところから見て、科学技術(特にIT)のクロスを指しているのではないだろうか。
例えば、大学を考えてみると、科学技術はあってもなかなか実業には結びつかず、企業を考えてみると、資本はあっても目先の利益を優先しがちになってしまう。
ところが、かつての秋葉原の電気街は、この水と油のごとき富と科学技術がごたごたに混ざっていて、まさにユートピアに見えたのかもしれない。
はじめてそのユートピアを見て、びっくりしたことをいまでも覚えている。
世界最先端の部品がまるで商店街の八百屋の店先に並んだ野菜みたいな感じで売られているのだ。
つまり、このユートピアを成立させていたのは、そのような下町の商店街のような気質も多分にあったかもしれない。
クロスフィールドがただのビルの集まりなら、この電気街は、結局、新宿のような、ターミナル駅の街になっていくのかもしれない。
(2006年8月記)