神谷町駅虎ノ門(虎ノ門タワーズレジデンス)

虎ノ門タワーズレジデンス

城山トラストタワーの北側に虎ノ門タワーズレジデンスが聳える。
まさに真新しい白亜のビルが天を衝く、という感じだ。
付属棟としては、虎ノ門タワーズオフィスがある。
すぐ北側に江戸見坂という急坂があるが、名前から眺望がよさそうだと確信できる。
(ビルがあちこちに建っているので本当に景色がよいかどうかわからないが)
また近くのアークヒルズと比べると、その洗練の度合いは一目瞭然だ。
アークヒルズはいまだに昭和の西新宿高層ビル街のような感じだが、最新の虎ノ門タワーズレジデンスには美術品のような美しささえある。
バブルから現在、そしてその先の社会の道筋をあらわしてるようで興味深い。
江戸時代のころ、江戸見坂を登りきれば、直下に溜池が広がり、その先に江戸の街並みが一望の下に見渡せたということだ。その眺めはさぞ見る者を楽しませたのだろう。
そして、万葉集には、天の香具山 登り立ち 国見をすれば うまし国ぞ 大和の国は(中略)なる歌もある。高いところから眺めることは当時の施政者の重要な仕事だったようだ。
ところで、眼下を眺め渡すことは、現代ではどんな意味を持っているのだろうか。
壁とはいわないまでもたぶん東京の中でもかなり急な坂である江戸見坂を注意深く下りながら考える。
ビルは急坂どころか垂直の壁でできている。遠くを眺める分にはいいが、真下を見下ろせば奈落があるだけだ。
見下ろす優越感は、奈落の底という不安を担保にして成り立っているのかな。
(2006年9月記)