赤坂(ホテルニューオータニタワー)

ホテルニューオータニタワー

高田馬場から山手線、新宿から中央線、四谷で下車。
赤坂方面に坂を下る。
ホテルニューオータニの敷地にホテルニューオータニタワーが聳える。
高度成長期の終わり頃に竣工している。
ホテルニューオータニは、大谷重工業を設立し、戦前、戦後に鉄鋼王と呼ばれた大谷米太郎が、東京オリンピックのころ、開業している。
せっかくの東京オリンピックなのに、来日客のためのホテルがない、ということがホテル開業の動機だったらしいが。
このとき建てられた本館(1964年)は、かなり高い(70メートル以上はある)ので、実は霞ヶ関ビルの前にも高い建物はあったわけだが。
他の高層ビルとしては、バブルのころに建てられたニューオータニ・ガーデンコートがある。
鬱蒼とした濃い緑とその緑を水面に映している陰気な弁慶濠、その奥には巨大な特徴のあるデザインの高層ビル。
それが高度成長期に日本が到達したある一つの高みなわけだが。
北側が正門なのかどうかわからないが、入れそうなところはここしか思い当たらないので北側から入る。
本館の西側を南へ。そしてプールの脇を抜けさらに南へ進むと日本庭園がある。
堅苦しいような庭園には興味はないけど、弁慶濠に沿う深い木立は歴史を感じさせる。
しかし、もっと面白いのは、野良猫がやたらとたくさんいたことだ。
林の中、ひんやりした地べたに気持ちよさそうに寝そべっている。
視線を少しそらすと、気張ったような庭園とそのすぐ向こうに巨大なモニュメントのようにそそり立つ、サイケデリックな妙なデザインの高層建築物が視界に入る。
そのとき、ふと、高度成長期に日本が到達した高みがなんなのか、なんとなくわかったような気がしてしまう。
もう一度、野良猫を見やりながら木立の下を通り北側の門を抜けて外へ出る。
(2006年9月記)