浜松町駅(世界貿易センタービル)

世界貿易センタービル

高田馬場から山手線で新宿へ。新宿の郵便局に寄る。
都営新宿線で神保町、御茶ノ水駅まで歩き中央線、神田で京浜東北線浜松町駅で下車。
北口から出るとすぐに世界貿易センタービルが聳える。
霞ヶ関ビルに続いて2番目の高層ビルである。高度成長期の真っ只中、完成する。
外からと見るその古さはわからないが、例えば浜松町駅でモノレールの改札の方から外へ出ると、世界貿易センタービルの中に出る。
駅とビルが直結しているのだが。
ビルの中は、まるで古い映画を見ているようなレトロな世界が広がる。
都心部の3大レトロというと、銀座線の浅草駅の改札口を出たところ、東京タワー、そしてこの世界貿易センタービルの中だろうと思う。
世界貿易センターとは、国際貿易新興機関だが、日本で2番目の高層ビル(世界貿易センタービルは日本では3番目)、神戸商工貿易センタービル(世界貿易センタービルと形がそっくり)も同じ機関による。
そして、1970年、世界貿易センター連合が結成され、その本部はニューヨークの世界貿易センタービル(今はなくなってしまったが)となる。
このことから日本の高度成長経済が世界の中でどういう位置づけなのかよくわかる。
さらにその高度成長経済が日本に何をもたらしたか、ということも。
当時の日本には、世界貿易という枠組みが必要だったのだろう。
確かに一時は世界の富を集め、日本の立場は強くなったかもしれない。
しかし、一部の工業製品だけ強くても、所詮、それだけである。バブルははじけた。
後に残ったのは、世界貿易という枠の中に嵌め込まれ、無理やり働き続ける日本の労働者だけというわけだ。
レトロなビル内を見渡し、あのころの未来を夢見た時代を思う。
あのころ夢見た未来と今という時代のこの落差の大きさを考えると悲しすぎる。
(2006年9月記)