東池袋(サンシャインシティプリンスホテル)

サンシャインシティプリンスホテル

高田馬場から山手線で池袋。東へ歩く。サンシャインシティの北側にサンシャインシティプリンスホテルが聳える。
他にさらに北側にアーバンネット池袋ビル、ライオンズタワー池袋があり、この一画はビル街となっている。
完成したのは安定期の真っ只中。
高度成長を経てやっと安定期に辿り着いた日本の象徴のような高層ビルだと思う。
それまでにも霞ヶ関ビルや西新宿高層ビル街などがあったが、サンシャインシティはそれまでの高層ビルとは違う。その名の通り、単なるビルだけでなく複合施設、シティ、となっているのだ。
ホテル棟あり、商業施設あり、博物館や水族館まで備えている。
都市型テーマパークの先駆けでもある。
高度経済成長期は働くときも遊ぶときも、とにかく前のめりと背伸びしかできなかったのに、安定期に入ってやっと立ち止まってゆっくり落ち着けるようになったという感じがした。
しかし、もう30年も経とうとしている。結局、振り返ってみると、ゆっくり落ち着けたなんて一瞬だったのかな。バブルで浮き足立って、あとはひたすら現状維持が精一杯。いや、間違いなくもう下り坂かな。
池袋駅の西口、地下を抜け地上へ。少し大通りを進みサンシャイン60ストリートへ入る。
なんだか神社の参道みたいな感じだが。急に賑やかになったその通りを進むと東急ハンズがあり、もうサンシャインシティの入口になる。
でもグリーン大通りをそのまま進んだり、有楽町線東池袋から行ったり、あるいは、大塚駅から行ったりしてはいけない。
昔ここが拘置所だった頃のような酷薄な、そして無表情な側面をサンシャインシティは見せるからだ。(たんに出入り口がないだけなんだけど)
そこで初めてサンシャインシティの立地の不自然さに気付く。
戦前、戦中のなんらかの広大な施設は、巨大ビルにするしか再利用の方法がなく、かといってオフィスビルだけなら、こんな駅から離れた場所で採算が合うはずはない。
そこで考えに考え、客が集まってきそうなすべてを集めた。
その結果がサンシャインシティだったのだろう。
なんのことはない。安定期に入った日本のこの巨大な娯楽空間も無理やりな背伸びの結果なのだ。
下り坂なのは当然なのかな。
(2006年10月記)