府中駅南口(グランタワー府中ラ・アヴェニュー)

グランタワー府中ラ・アヴェニュー

ライオンズタワー府中の西側にはグランタワー府中ラ・アヴェニューがある。
低層階は商業施設になっている。かつての商店街はビルの中、というわけだ。
府中は古代律令体制における国府の所在地を示す。それが地名に転化した。
武蔵国国府、つまり武蔵国の中心だったのである。
そして、鎌倉時代は南北に伸びる鎌倉街道が通っていた。
江戸時代になると今度は東西に甲州街道が伸び、その宿場町となる。それは京王線に引き継がれ、今でも主要駅だ。
立地的になんとなく武蔵野の中心だろうというのは納得してしまうのだが、どうしてかは厳密にはわからない。
しかし、よく考えてみれば、府中にしろ国分寺にしろ、役所や施設の普通名詞が固有の地名になるということは、それ以前は何もない場所だった、ということだろう。
だからこそ、結局、もとに戻って、今では街の範囲は、南北は甲州街道から旧甲州街道の間、東西は小金井街道から府中街道の間ぐらいか、やはり郊外の地方都市の域を出ない、ということになっているのではないか。
このささやかな郊外の町にはそぐわないほどに幅広な立派な神社の参道がある。甲州街道を突き抜けてさらに北に伸びているぐらいだ。
大昔、ここが武蔵国の中心だったことを知っていれば納得がいくが、初めて見ると、まるで参道の片隅に町がよりそっているように感じるだろう。
あの賑やかな商店街は、そのような大昔、盛んだった頃の名残り、いや誇りなのだろうか。
そして、今、高層住宅が3棟建ち並び、伊勢丹まである。
かつて武蔵国の中心だったという幻の産物であろうか。
(2006年10月記)