府中駅南口(ライオンズステージ府中シティタワー)

ライオンズステージ府中シティタワー

府中駅南口を今度は西へ。街外れ、府中街道沿いにライオンズステージ府中シティタワーがある。
府中で最も有名なものといえば、立派な参道とそしてその先にある大国魂神社である。
古代、自治権を持った土着の豪族から成り立つ国造から中央集権的な役所、国府律令制のもと各地に設置された。
その後、奈良時代国分寺がセットになって創建され、さらに、その後、平安時代あたりに総社がセットで創建される。
総社とは、その地域の神社の総元締めである。
そして、大国魂神社武蔵国の総社なのだ。
とすると大国魂神社の創建は、平安時代といえるかもしれない。
さらに大国魂神社はこれほど名高いのに平安時代半ばごろの延喜式神名帳には載っていない。
このことから、平安時代の後半、延喜式神名帳が完成した後に、総社として国府内に創建されたのが大国魂神社ではないかと思う。
たぶん、そのころが府中の最盛期だったのだろうか。
現在、国分寺国府も姿を消した。府中は武蔵の国の中心でもなくなった。
今やただの郊外住宅地になっている。
残ったのは、大国魂神社だけだろうか。
でもこの神社すらなくて、土に埋もれた遺跡だったとしたら。
幅広の立派な参道の両脇には樹齢何百年もの巨大な欅の並木がある(この並木は徳川家康の寄進によるものらしい)。
その並木の下、参道を今でも多くの参拝客が通っている。
参拝客や地域の拠り所になっている限りこれからも大国魂神社は残るだろう。
そう考えると、もはやここが、武蔵の国の中心だったなんてことはどうでもいいことかもしれない。
(2006年10月記)