多摩ニュータウン多摩センター駅南口(多摩東京海上日動ビル)

多摩東京海上日動ビル

南へ伸びる道路の上に東西に通る多摩中央公園通りが高架で越える。
その通りへ出て西へ歩くと多摩東京海上日動ビルがある。
多摩ニュータウンは、たしかに団地住まいでも田園に暮らすことができる、という夢の結実だったかもしれない。
高度経済成長は、まさに公害、自然破壊と表裏の関係にあった。
安定期に入り、その関係性から開放されると、やっと自然環境に癒される、田園に暮らす、という余裕も出てくる。
世の中は「ディスカバージャパン」ということになる。
しかし、そこへバブルがやってくる。
多摩センター駅の南口にもパルテノン多摩ができ、サンリオピューロランドができ、さらに高層オフィスビルが建ったりする。
京王線小田急線も多摩センター駅からさらに西へ延伸する。
小田急線は、都心での複々線工事があるためか、かろうじて延伸が途中で止まっているが。
最後には多摩モノレールも開通する。
ただの団地でどうしてこうなってしまったのだろうか。
まさに映画のセットのような多摩センター駅南口、パルテノン通りの仰々しい風景。
その先に延々と連なる団地の棟。はるかにはるかに続くと思われたのに。
バブルの頃、夜中にクルマで訪れたものだ。
あの頃の、近未来の息吹は、何のことはない、ただの大量に並んだ団地の建物郡でしかなかった。
果てしもない未来の夢は、現実という波に流されて、まさに夢の跡だ。
(2006年10月記)