多摩ニュータウン多摩センター駅南口(ベネッセコーポレーション東京

ベネッセコーポレーション東京ビル

多摩センター駅南口からまっすぐ伸びるパルテノン通り。
少し南へ歩き、東へ行くとベネッセコーポレーション東京ビルがある。
このビルもバブルの頃に竣工している。
南口は特にそうだが、人工の建造物が周囲を覆い尽くし、訪れる者を圧倒していた。
しかし、長い年月でそうなったのか、本来そうだったのか。
近未来の洗練された巨大居住空間のメッキはすっかり剥げ落ちてしまったようだ。
結局は、張りぼてのセットだったわけだ。
お店などを見てもさびれているような雰囲気だし。
ひなびた団地棟が果てしもなく並んでいる。今はそれだけである。
この日は何の日だったろう。
ペデストリアンデッキになっている駅前の広場、ハロウィンだろうか、出店が並び、家族連れで賑わっている。
賑わっているといっても、大規模なイベント、といったものではない。
むしろ、郊外の住宅街の中でのフリーマーケットのような感じだ。
大袈裟なつくりのパルテノン通りに、近所の家族連れがぎこちなく集っている感じがしていてほほ笑ましい。
強大な文明が滅び、廃墟になってしまった巨大な人工建造物。そこに残った住人がささやかだが、のんびりとした生活を送っている。なんていう空想の物語があったかな。
もともと、多摩ニュータウンは、豊かな自然を有する多摩丘陵に位置している。
本来は、田園の中のニュータウンだったと思うのだが。
この駅前広場のささやかな集まりを見ていると、むしろ、田園のニュータウンの姿に戻っているのかもしれない。
(2006年10月記)