相模原市橋本駅北口(オラリオンサイト4番館)

オラリオンサイト4番館

さらに西へ歩く。のどかな地方の風景が広がる。
交通量の多い16号線を渡る。急に都会の喧騒に引き戻された感じ。
オラリオンサイトの高層住宅棟とショッピングセンターが建ち並ぶ。
その高層住宅群の東側、オラリオンサイト4番館がある。
オラリオンサイトは、国鉄橋本自動車工場の跡地である。
もとは軍事工場だったが、終戦後、国鉄の自動車工場になっている。
そして、やはり、国鉄がJRになった頃、すなわち、バブルの頃、工場は廃止された。
さらに、同じくバブルの頃、京王相模線多摩センター駅から伸び、そして相模線が電化されている。
もう一つ、八王子方面へ伸びる八王子バイパスもバブルの最初の頃の開通だ。
橋本の街にとって、本当にバブルの頃が曲がり角だったのだろう。
クルマで通ると、土地勘もないものだからどうやっても橋本の西側の16号を通らざるを得なかった。いつもひどい渋滞。
昔は、工場だらけ、それ以上にクルマだらけ、他には何にもない所だったなあ。
バブルが崩壊し、失われた10年となり、そんな中、高層ビルが建つ、ということで夜中、クルマで来てみた事がある。
近未来的な多摩ニュータウンを通り、静かな町田街道を西へ、ようやく橋本駅の北口に入る。
工事用の柵が張り巡らされていて駅前という感じではなかったが。
そんな中、唯一華やかな店があったのでその方を見るとパチンコ屋だった。
なにげなく見ていると、そのパチンコ屋から出てきた中年の男が、やおらポケットからパチンコ玉をいくつか掴み出し、出てきたパチンコ屋に「チクショー」とわめきながら投げつけていた。
パチンコですった中年男を見にわざわざ橋本まで来たわけではないけど。なんだか、あの頃のうらぶれた世の中全体の雰囲気を象徴するようでよく覚えている。
おかげで高層ビルの建設現場を見にきたのに、すっかりそんなことは忘れて、こちらもしょげてしまった。
そのまま早々にクルマを発進させて橋本を後にした。
(2006年10月記)