桶川駅西口(ビュータワーおけがわ)

ビュータワーおけがわ

武蔵野線武蔵浦和駅へ。埼京線に乗り換える。
大宮駅へ。さらに高崎線に乗り換える。
桶川駅で下車。
西口へ。駅前に大きな、だが平べったい、古ぼけたショッピングセンター。
ペデストリアンデッキを進むと、そのままそのショッピングセンターに入ってしまうのだ。
なんだかわびしいショッピングセンターの中を抜けて並木道になっているメインストリートへ出る。
出ると、もう何もない。少し歩けばビュータワーおけがわがある。
しかし、この高層住宅が街外れなのだ。
北側にあるらしい団地を含めても、400メートル四方に街がすっぽり収まってしまう。
商業地帯ではなく、街そのものだ。
その商業地帯とは、さっきの古ぼけたショッピングセンターだけである。
そのなんともちっぽけなかわいらしい街にそぐわない高層住宅は、バブルが崩壊したあたりに竣工している。
そしておそらく、その先の市民ホールやきれいな公園なども同じ頃にできたのだろう。
浦和、大宮という地方都市のさらに最果て。それがどうしたわけか、大宮までが最新スポットになってしまった。その影響を受けずにはいられなかったのだろうか。
桶川駅が輝かしい未来への入口、20分もしないで大宮まで行ける。その先、埼京線に乗れば池袋もすぐだ。
でも、その未来とやらはバブルでしかなかったわけだ。
地図で見る桶川の街は、埼玉の大地にある地方都市にしか見えない。
実際、桶川に行ってみると、場違いなほどにメルヘンな街で拍子抜けしてしまう。
何かが歪み、何かが乖離してしまったのかな。
ただ、時間がたてば、ショッピングセンターのように高層住宅も市民ホールも公園も、古びてもうこの土地の地形のようになっていくのかもしれない。
ありもしない将来、それを今、見つめながら、その今という時間がいつしか過ぎていくのだ。そして、ありもしない将来を、静かに日常という時間がうずめていく。
ありもしない将来が、遠い過去の思い出になるまで。
(2006年11月記)