川口駅東口(キャメリアタワー川口)

キャメリアタワー川口

川口駅から南東に伸びるメインストリート。
その通りを挟んでスカイスクエア川口の北側にキャメリアタワー川口がある。
たしか、一番最近、川口駅東口に来たとき、この高層住宅が建設中だったのだ。
時が経つのは早いものだ。
映画「キューポラのある街」の続き。
解雇された父親の再就職もままならず、ますます遠のく県立浦和第一女子高等学校への道。
修学旅行の当日も、家は出たものの、集合場所の駅にはいかず、さぼって、荒川の河原に行ってしまう。
そのあと、彷徨うように電車で浦和まで行く。そして、県立浦和第一女子高等学校の校庭の石垣をよじのぼり、金網越しに体育の授業をじっと見つめる。
すっかり日が暮れても、修学旅行に行ってることになっているので、家にも帰れず、線路沿いをとぼとぼ歩いていく。
居酒屋から賑やかな酔客の声と嬌声が漏れている。
ふと、聞き覚えのある声に誘われ、居酒屋の中を見てみる。母親が酔客相手に水商売じみたことをやっていた。
ショックを受けて、やっと宿屋の前まで来たものの、ますます混乱し途方に暮れて、じっと立ちすくんでしまう主人公(吉永小百合)。
そこへ、あちこち遊び歩いている同級生の女の子が通りかかり、一緒に歓楽街に遊びに行く。しかし、ちんぴらに睡眠薬入りのビールを飲まされ、いたずらされそうになり、ほうほうの態で逃げ帰る。
もう学校にも行けなくなる。
心配して来てくれた教師には「勉強する意味なんてないもん」といい、母親に対しては「いやらしい、飲み屋でよろこんで騒いで」と言って、金持ちの同級生から貰った口紅を投げつけて、泣き出してしまう。
なんとか抜け殻のようになりながら、通いだした学校だが、今年を振り返って、という題の作文で、
弱いから貧しくなるのか、貧しいから弱くなるのか、自分にはわからない。
と書く。
日本は、この後、高度成長を達成、国民総中流を実現する。そして、安定期を経て、バブルへ。
そういった時代にあっては、ここに出てくる貧しさは、教訓だったり、教養だったり、あるいは、怖いもの見たさの娯楽だったり、でしかなかったのかもしれない。
でも、現代のような格差社会になってみると、なんだか身につまされるような気がするのは気のせいなのかな。
(2007年3月記)