川口駅東口(リビオアクシスプレイス)

リビオアクシスプレイス

さらに街中に入り、北側に歩いて行くとリビオアクシスプレイスがある。
この高層住宅も住宅地の真ん中、あるいは商店街の真ん中、という感じだ。
ごく最近、竣工した高層住宅であるらしい。
かくのごとく、現在に至るまで川口には高層住宅が増殖を続けてきたわけだが。
この高層住宅に面している通りは、映画「キューポラのある街」の主人公、ジュン(吉永小百合)が、(映画の最後の方で)、自転車で走っていた道なのだろうか。
昔から住んでいるわけではないので、土地勘がなく、さっぱりわからない。あるいは、さっき通ったメインストリートの方かもしれない。
今はもう、ジュン(吉永小百合)の父親の勤めていた工場もないだろうなあ。それどころか、鋳物工場自体がほとんどがなくなっている。そして、同時に林立していたキューポラもなくなってしまった。
そのかわりに、林のように建っているのは高層住宅なのだ。
ところで、映画「キューポラのある街」は、結局、どうなったのだろう。
高度成長経済、みんなが豊かになる、ということで、すべては括弧にくくられて、とりあえずは先送りになったような気がするが。
つまり、沙汰やみになってしまった、ということだ。
でも、そのしわ寄せは、きっとどこかに溜まったままなのかもしれない。
下町だった川口の街は、いまや高層住宅が建ち並ぶ、整備されたきれいな街になった。
工場地帯ではなく、むしろ山の手の住宅地になったのだ。
しかし、そこから脱落してしまえば、もう居場所はないのだろうか。
それが格差社会、というものだろう。
そう考えると、「キューポラのある街」は、少しも解決になっていない。
(2007年3月記)