京王線聖蹟桜ヶ丘駅南口(聖蹟桜ヶ丘ビュータワー)

聖蹟桜ヶ丘ビュータワー

また多摩都市モノレールへ乗り、高幡不動駅京王線に乗り換える。
高幡不動駅多摩都市モノレールの乗換駅として整備されつつある。
門前町ならぬ門前駅として風情があったのだが。いつの間にかこぎれいなお店が軒を連ねるようになった。
多摩丘陵の麓を東京方面へ。多摩川の手前、聖蹟桜ヶ丘駅で下車する。
駅周辺はデパート、バスターミナルがあり、さらに南側に幅広の川崎街道が東西に通っている。川崎街道の南側には聖蹟桜ヶ丘ビュータワーがある。
その南側には小川が流れ、そしてさらに南側は丘陵地、丘の上となっている。
丘の上の田園都市、というわけかな。
本当は関戸、という地名なのだが(今でも町名で関戸は残っている)、いつしか桜ヶ丘になったのは、やはり、この丘(桜ヶ丘)の上の田園都市の影響からだろう。
そして、明治天皇の御狩場が近くにあったので聖蹟の名が付いている。
また、聖蹟桜ヶ丘で有名なのは、ジブリのアニメ「耳をすませば」だろう。
作品の中の地名は、架空だが、明らかに作品の舞台は、聖蹟桜ヶ丘駅とその南側にある丘陵地、桜ヶ丘、そしてさらにその南側の多摩ニュータウンの団地群の一つだ。
庶民的で下町的な団地の風景と山の手住宅地、桜ヶ丘の風景の違いがリアルに表現されている。
リアルに表現されているこの違いが、丘の上と麓に通じている、くねくねと曲がりくねった、いろは坂通りによって容易に結び付けられているのだ。
耳をすませば」ができたのは、バブルが崩壊した後、失われた10年の頃だ。
だから、まだ、作品全体が高度成長期以降の安定期とバブルの頃の、総中流という幸福な空気に満たされているのだろう。
そしてこの幸福な空気が、現代の格差社会から見ると、美しいノスタルジックなファンタジーとして強く心を揺さぶるのかもしれない。
さらにいえば、聖蹟桜ヶ丘ビュータワーの存在が、そのファンタジーから格差社会という現実へ連れ戻してくれているような気もする。
(2007年3月記)