都営新宿線本八幡駅(プリームスクエア本八幡)

プリームスクエア本八幡

本八幡キャピタルタワーの南側には、プリームスクエア本八幡がある。
本八幡キャピタルタワーの次に竣工した高層住宅だ。
こうして、着々と駅前の集積化が進行していく、ということだろうか。
江戸時代は、東西に伸びる成田街道(正式には佐倉街道)の八幡宿があり、さらに行徳から北東方向に伸びる木下街道が八幡宿あたりで交差していた。
本八幡は、昔も今も交通の要衝だったわけだが。
しかし、古代は、市川の北側の国府台が中心であり、江戸時代は、東側の船橋宿は大変に賑わっていた、ということだ。
交通の要衝なのだが、市川と船橋の真ん中で、今も昔もあんまり賑やかではなかったらしい。
駅周辺は、商店街などもあるが、北側は、市川のすぐ東側、ということで閑静な住宅街となっている。
千葉県内屈指の山の手、市川の北部の延長、ということだろう。
だから、賑やかでなくても、寂れているわけではない。
北口の東側には、市川市の市役所もある。
市川と船橋の間でなにもなく、ちょうどよかったのかもしれないなあ。
そして、いわゆる文化人が多く住んでいたらしい。
例えば、本八幡駅近くには、永井荷風が住んでいたということだ。
文化人が暮らすところは、文京山の手、鎌倉、そして、市川。どこも閑静な山の手だ。
市川に住んでいた文化人の中には、有名な井上ひさしがいる。
学生の頃、「ブンとフン」ぐらいなら読んだことはある。筋は忘れてしまった。
といっても、読み返すつもりもないし、井上ひさしの本を読むことは、この先、永久にないだろう。
ただ、「ブンとフン」は、最初から最後まで安楽な気分に満ち満ちていたことだけは覚えている。
なるほど、このような場所からなら、あのような安楽な雰囲気が出ても不思議はない、と納得できたが。
同時に、社会の構造が透けて見えて、しらじらしい気分になってしまった。
(2007年9月記)