都営新宿線浜町駅(日本橋浜町Fタワー)

日本橋浜町Fタワー

相変わらず参拝客で賑わう水天宮の北側を東へと歩いていく。
たしか、水天宮の総本山のある九州の久留米は水路が縦横に走る水郷だときく。
江戸時代、最初に置かれたのは、今の港区芝公園の南側だったらしい。
だから、隅田川日本橋川が近くを流れるこの場所の方が、総本山のある九州の久留米に環境的に近いかもしれない。
などと考えながら新大橋通りを東に歩いていく。
しばらく歩くと新大橋通りの南側に巨大なトルナーレタワーが聳える。
このでかい高層住宅のおかげでまわりの環境が一変したような感じだ。
例えば、箱崎とこの高層住宅がある浜町は、昔はあきらかに違う街だったような気がするのに、今では、すっきりと見通しがよくなってしまい、同じビル街、という感じがしてしまう。
そして、その端緒だったのが、トルナーレタワーの清洲橋通りを挟んで東側の日本橋浜町Fタワーではないかと思うのだが。
竣工は、バブルが崩壊した後の失われた10年の頃である。
当時、このビルの工事現場を見るために、この場所には、何度か足を運んでいる。
その頃は、すでに半蔵門線水天宮前駅ができていたけど、あえて、東西線茅場町駅で降りて歩いて来たものだ。
永代通りを東に歩き、隅田川に近付いたあたりで日本橋川を渡り北東へ。
首都高の高架の下あたりを東側に歩いていく。
隅田川沿いはウォーターフロントの再開発ですでにビルが建ち並んでいたものの、それ以外は、マンションや昔からあるようなお店、そして料亭らしき木造の建物が密集する静かな一帯だったと記憶している。
迷路のようなその一帯の中の小道を東へと歩いて行くと浜町へ達するのだ。
ビルがなかった当時は、あちこちを巡りながらようやく辿り着いた、という印象があるのだが。
今、こうして、高層ビルが建ち並ぶと、見通しがよくなって、箱崎まではすぐだとわかってしまう。
すっきりと単純化されていいのだが、街並みが迷路のようだったあの頃が懐かしく思い出されるのはなぜだろうか。
(2007年12月記)