銀座線虎ノ門駅(虎ノ門日土地ビル)

虎ノ門日土地ビル

東急東横線武蔵小杉駅東急東横線に乗り、渋谷に向かう。
年末の日没は早い。もう夕方になってきた。
多摩川の鉄橋を渡っているとき、武蔵小杉の方をみやると、巨大な高層住宅が夕日を浴びてオレンジ色に輝いている。
巨大な新しい近未来都市がオープンしようとしているのに、儚い夕暮れの光に浮かぶその光景を見て、心動かされるのは、もう自分が若くはないからだろうか。
しかも、もうじき、年も暮れようとしているし。
東急東横線は、山の手の住宅地を通過し、渋谷駅へと到着する。
なるほど、武蔵小杉からだと、こうして渋谷にすぐに行けるわけだ。
あいかわらず賑やかだなあ。
武蔵小杉に何棟も高層住宅が完成して、住人が増えれば、さらに賑やかになるかもしれない。
雑踏をすり抜け、銀座線のホームへ。
銀座線に乗り換える。
街は賑やかだが、銀座線の車内は、年末、もう夕暮れ、ということで、都心に向かう乗客はあまりいない。
虎ノ門駅で降りる。
地上に出ると、本当に誰もいない。冬の寒々しい空気に覆われているのみだ。
そんななか、桜田通りの西側には、日本最古の高層ビル、霞が関ビルと最近完成した霞が関コモンゲートのツイン高層ビルが聳え建っている。
誰もいないので、まるで古代の遺跡のような風景が広がる。
桜田通りを挟んでその霞が関高層ビル群の東側には、虎ノ門日土地ビルがある。
高度成長期がちょうど終わったぐらいの頃に竣工している。
建った頃は、まわりには霞が関ビルぐらいしかなかったので、目立った存在だったかもしれない。でも、最近になって、巨大なビルが次々に建っているので、今はひっそり建っているように見える。
もっとも、まわりの官庁街も今はひっそりと静かなので、ちょうどいいかもしれない。
もうじき一年が暮れる。
自分もこの場から立ち去るかな。
後は、ビルが建っているだけの世界になる。
(2007年12月記)