銀座線溜池山王駅(国際赤坂ビル)

国際赤坂ビル

諏訪坂を下り、さらに青山通りに出て、急な坂を下りていく。
赤坂見附の交差点で大通りを南へ。
西側には、赤坂の街が広がり、東側には、エクセルホテル東急、山王日枝神社、総理大臣官邸と並んでいる。
大通りを挟んで総理大臣官邸の西側には、国際赤坂ビルがある。
こうやって、乃木坂だの青山だの赤坂だの巡っていると、昔、流行った、デュエットのムード歌謡曲「別れても好きな人」を思い出してしまうなあ。
確か、その歌の歌詞では、こういう順序で巡っていた。
渋谷で偶然会って、傘もささないで原宿まで歩く。
一路、赤坂へ。そして、少し寂しい乃木坂まで歩いてから、また、赤坂の一ツ木通りへ行って別れる。
この元歌の歌詞では、原宿が青山になっている。現在でも、若者の街、原宿よりも青山の方が合っているような気がするけど。
こうして、場所だけ羅列すると、彷徨っているだけに見えるけど、歌で聴くと心にしみいる。
ここからは、想像だけど、こんなストーリーがあるかもしれない。
偶然に渋谷で会って、懐かしくて、歩きながら話し込んでしまう。傘もささないで。
表参道を過ぎたあたりで、男性の方が、普段は行かない赤坂の高級レストランに食事に誘う。
タクシーで赤坂に行き、楽しい食事。
でも、赤坂は、女性がホステスとして働いているところなのだ。
レストランから外に出るとなんとなく、TBSの前の赤坂通りに出て、ちょっと気まずくなって、二人で西の方へ歩き出す。
乃木坂近くまで来たとき、もうどうしようもなくて、女性が赤坂でホステスをしていることを打ち明ける。
男性は、すべてを了解して、タクシーを拾って、女性と乗り込み、また、赤坂へ。
もう二度と会うことはないと、わかっていながら、「自分のせいで仕事に遅らせるわけにはいかないからね」と、精一杯の強がりを言って、女性を送り出す。
女性の方は、ちょっと歩いてから、男性の方を振り返って、他人行儀なお辞儀をして、またすぐに、すたすたと、一ツ木通りを歩き出す。
溢れ出す涙を見られないために。
こういう感じなのかな。
同じ場所を赤坂、一ツ木通りと二通りに分けているところがもの悲しい、と思ったりしているのだけど。
昔の赤坂のホステスは、接客だけではなかったので、別れるしかなかっただろうなあ。
話は元に戻るが、目の前の国際赤坂ビルは、高度成長期が終わる頃に竣工している。
赤坂が繁華街としては衰退していく時期だ。
だから、オフィスビルが建ったのだが。
安定期に入って、赤坂もすっかり様変わりしてしまった。
そして、二度目に世に出た歌が、想い出を呼び覚ますように、ヒットした、ということだろうか。
(2008年1月記)