山手線田町駅西口(イトヤマタワー)

イトヤマタワー

西側に歩き、大森駅に戻る。
再び京浜東北線に乗る。
そういえば、大森駅東口は、あんなにすっきりしていたかなあ。
もっと、ごちゃごちゃしていたような気がするが、気のせいなのかな。
と昔のことを回想しているうちに、田町駅に到着する。
西口に出る。
幅広の第一京浜に出て南へと歩いていく。相変わらず、西側が高台になっていて、その影になっているためか、薄暗い感じがする。
最近、巨大な高層ビル、住友不動産三田ツインビル西館が建ったので、ますます、薄暗くなってしまった。
その住友不動産三田ツインビル西館を過ぎたあたりにイトヤマタワーがある。
竣工したのは、失われた10年の頃。
ビル名が、地名でも企業名でもなく、個人名、というのも、俗物っぽくて、面白い。
せめて、地名の三田から、Mタワーとかにならなかったのだろうか。
あるいは、とても歴史のある古社、御田八幡神社の参道の脇にあるので、御田八幡タワーでも、いいかもしれない。かっこ悪いビル名かな。
さらに言えば、この場所には、新日本観光の新日本会館というのが、もともとあって、その跡地に建っているので、新日本観光の本社ビル、ということなら、その企業名でもいいかもしれない。
もっとも、そうなると、バブルっぽいような企業みたいなので、どちらにしろ、俗物っぽくなる。
そんな俗物ビルは、バブルが崩壊した後、白金、高輪の山の手の麓、じめじめした陰気な場所に、できあがる。
でも、今では、すぐ近くに、この俗物高層ビルよりも、はるかにはるかに巨大な住友不動産三田ツインビル西館が聳えている。
そして、じめじめした陰気な場所、というのは変わりそうにない。
そんな様を見ると、抗えぬ時代の波の大きさを感じさせられてしまうなあ。
そう考えると、この俗物高層ビルは、むしろ、滑稽な悲しみに満ちた建築物なのかもしれない。
(2008年1月記)