山手線田町駅東口(LOOP X)

LOOP X

東に歩き、旧海岸通りに出て、いったん南へ向かう。
交差点を曲って、再び東に歩く。
運河を橋で渡ると芝浦アイランドとなる。
今や巨大な高層住宅が建ち並んでいて、景観は一変した。
この巨大な高層住宅の計画や工事現場を見るために、何度も足を運んだな。
その度にこの橋を渡ったのだ。
その頃は、雑草と樹木が生い茂っていて、どっかの古代遺跡みたいだった。
さらに東へ歩き、また橋で運河を渡る。
首都高の高架が上を通る、海岸通りへ。
相変わらず交通量が多い。
その海岸通りに沿って少し北に歩くと東側、奥まったところにLOOP Xがある。
竣工は、バブルの頃だ。
そして、ビル名の「LOOP」とは、LOOP Xの東側はもう海なのだが、さらにその東側の沖合いにある、レインボーブリッジの橋梁のことなのだろう。
一般道とゆりかもめの通る部分は、傾斜を緩やかにするためなのか、ループ状の構造になっている。
このような壮大なループ状の橋梁のレインボーブリッジは、LOOP Xが竣工した頃は、まだ、工事中だったらしい。
たぶん、その頃、海の向こうには、雄大な工事中の光景が広がっていたことだろう。
映画の「バブルへGO!!」のシーンを思い浮かべてしまう。
広末涼子が演じた主人公が、タイムマシーンでバブルの時代に送り込まれた時、最初に見た光景が、工事中のレインボーブリッジなのだ。
レインボーブリッジは、あの時代の象徴だったかもしれないなあ。
レインボーブリッジ、ループ、その先には、ウォーターフロント臨海副都心がある。
あの頃、これから先、どんな素晴らしい未来が来るのか、本当に待ち遠しいくらいだった。
でも、来たのは、勝ち組、負け組の格差社会
レインボーブリッジの先にあったのは、果てのない夢だったのだ。
日も暮れかけている。もう帰ることにしよう。
背後には、もう見えないけど、巨大なレインボーブリッジのループが暗闇に沈もうとしていることだろう。
(2008年1月記)