都営大江戸線築地市場駅(朝日新聞社本館)

朝日新聞社本館

南東側に歩く。
掘割になっている首都高速を橋で渡る。
銀座からの通りが何通りなんだか、ここまで来ると、どうでもよくなってくる。
この首都高から南東側は、もはや、銀座でも、オフィス街でもないようだ。
さらに南東側に歩いていく。
南西に伸びる大通り、新大橋通りがある。
海が近い、という雰囲気がする。
この大通りの東側一帯は、築地市場になっているからなのだろう。
新大橋通りを西南方向に歩く。
しばらく歩くと、朝日新聞社本館がある。
高度成長期を達成した後の安定期に竣工している。
実は、家では、朝日新聞をとっていたので、朝日新聞がこのビルのことを、記事にしていたことを、よく覚えている。
当の朝日新聞の本社ビルだったので、何ページにも亘る力の入った特集記事だったような気がするが。
でも、そういったことを割り引いたとしても、朝日新聞社本館の竣工は、とても印象的な出来事だったと思う。
新聞は、今でも身近だが、昔は、生活の中で非常に大きな存在だったからだ。
その新聞を作っている新聞社が、最新の設備を擁した高層ビルを建てたのだから、さぞ思い出深いことだったろう。
SFの世界が、もうすぐ、手の届くところに近付いている。そういう実感を強く持ってしまった。
今、あらためて、朝日新聞社本館を見上げてみると、ずいぶん古ぼけてしまった、と感じてしまう。
SFの世界が来ない代わりに、建物がレトロになってしまったのだなあ。
つまり、30年、という時間の経過は、建物がレトロになる、ということだけは、実現させていたわけか。
そして、あの頃のわくわくするような、明るい未来も古ぼけて過去のものになってしまったのだ。
(2008年2月記)