銀座線虎ノ門駅(興和西新橋ビル)

興和西新橋ビル

東へ歩く。また虎ノ門駅の交差点。
さらに、東に歩く。
交差点を曲り、南へ。
愛宕通り、という通りなのだろう。
しばらく歩いて行くと、愛宕通りの東側に興和西新橋ビル、B棟のツインビルがある。
竣工は、バブルが崩壊した後の失われた10年の頃だ。
北に官庁街、南側には愛宕山増上寺
それらに囲まれた静かな街中にいつしか高層ビルが建っていたりする。
バブルが崩壊して、景気が悪くなっている時にも、こうして、ビルは建つものなのだ、と思ったりしたものだが。
こんなふうに、ビルが着々と建っている様を見ると、ほっとしたり、なにか未来に対する希望のようなものが、沸いて来たりしたっけ。
しばらく我慢していれば、景気がよくなって、世の中はいい方向に動き出すはずだ、と信じることもできるし。
見た目にも、今の状況が確実に変化している、と実感できる。
ひょっとしたら、丸の内、内幸町、官庁街、そして、この一帯まで、ビル街が広がっていく、そんな未来が来るのだろうか。
その予兆なのだろうか。
今にして見ると、はるか東側に汐留シオサイトの巨大なビル群も完成し、さらに、そこから、環状2号線が、まっすぐ西に伸びてくる予定なので、あながち、その予感は、非現実的でもなかったみたいだが。
少なくとも、静かな、取り残された、空白地帯だった、この一帯は、汐留シオサイトと六本木、虎ノ門を結ぶ、回廊になることは、確かなことだろう。
かつてよりは、賑やかになるかな。
でも、バブルの頃やその前の安定期の頃のような、未来に対する高揚した感じは、もはや蘇ってこない。
未来は、どんどん先に進むのに、こちらは、そのまま、取り残されているようだ。
(2008年3月記)