千代田線赤坂駅(国際新赤坂ビル西館)

国際新赤坂ビル西館

また、弁慶濠の交差点まで戻る。
この日は、びしょびしょと冷たい雨が降り続き、歩き回るにはつらかった。
冷たい雨の中を歩きながら、さっきのウルトラセブン「第四惑星の悪夢」についてさらに考え続ける。
例えば、なぜ、この話の中で、ロボットが人間を必要以上に軽蔑し、虐げる対象にしていたのか、よくわからないのだ。
こうも考えられるかもしれない。
この話に出てくる長距離宇宙ロケット、というのは、初の自動操縦による飛行で、乗っている隊員は、その間、ずっと寝ている、ということになっている。
とすると、普段は、ロケットを操縦している隊員にとっては、その眠りは、さぞ、居心地の悪い眠り、だったに違いない。
そんな、不本意な気分での睡眠なら寝付きも悪く、見る夢もいいはずはない。
だから、「悪夢」、のような話ではなく、本当に第四惑星の話は、「悪夢」に過ぎなかったのではないかな、とも思える。
つまり、そういうところから、機械(ここではロボット)に、人間が軽蔑される、という悪夢を見たのではないかと、いうわけだ。
そんなことを考えながら、大通りを南へ歩き、交差点を西へ曲る。
東西に伸びる赤坂通りを歩いていく。
しばらく歩くと、赤坂通りの南側に国際新赤坂ビル西館がある。東館とともにツイン高層ビルとなっている。
竣工は、高度成長期の後の安定期。
その当時、夏休みなんかに、よくウルトラセブンが放映されていたなあ。しかも、2話連続、1時間でやっていた。
暗澹たる未来のお話も、テレビから離れれば、のんびりした、当時の日常があったわけだ。
悪夢から醒めたときの、あの、ほっとした気分、それと同じかもしれない。
悪夢は、醒めるから悪夢なのだ。
「第四惑星の悪夢」も、結局、醒めるから、「悪夢」なのだろう。
でも、醒めなかったら、どうなるのだろう。現実そのものだったら。
そのときは、楽しい夢、を見るのだろうか。つらい現実を忘れるために。
(2008年3月記)