山手線代々木駅(GSKビル)

GSKビル

小田急線の踏切を越え、さらに南へと歩いていくと、代々木駅の西口に出る。
昔は、華やかな新宿の街の吹き溜まりみたいな場所だったのだが。
おまけに、代々木ゼミナールまであるので、余計、日の当たらない場所、という感じがしたな。
実際、千駄ヶ谷の谷地になるので、本当に日があまり当たらないのだけど。
代々木駅前を過ぎ、さらに南へと歩く。そして、さらに下りとなっていく。
どんどん下っていくと、東西に伸びる道路に行き当たる。
ここらへんが谷の底らしい。上空を首都高速の高架が通っているので、一層、谷の底、という感じがする。
東西に伸びる道路に入り、東へ。山手線の下をくぐり、少し東に歩くと、南北に伸びる明治通りとの交差点がある。
その交差点の南東側にGSKビルがある。
バブルの終わり頃に竣工したのだが、本当に暗い谷底、という感じで目立たない高層ビルだ。
ただ、今年中(2008年6月)に、明治通りの地下を地下鉄副都心線が開通し、近くに駅ができるらしい。
竣工当時から地下鉄が開通して駅ができる、なんて予想していたとは思えないけど、これで、ようやく、日が当たる、ということかな。
ところで、代々木、といえば、代々木ゼミナール以外だと、高度成長期の終わり頃のテレビドラマ「傷だらけの天使」、ということになっているのかな。
再放送のとき、人気がでたので、実質的には、高度成長期の後の安定期のテレビドラマ、なのだろうけど。
主人公が暮らしていたのは、ビルの屋上にある不思議な家で、子供心にかなり憬れたように記憶している。
今でも、そのビルは代々木駅の西口近くに残っている、ということだ。
山手線で代々木駅を通るときは、車窓から、たぶん、あのビルのことかなあ、と思って、眺めているのだが。
こんなふうに、ビルは、残っているかもしれないけど、まわりの、新宿の吹き溜まり的な代々木の街並みは、なくなってしまったなあ。
東側の明治通りには、地下鉄がさらに開通して、駅もできる、ということだし。
ふと、傷だらけになっても、天使の心を失わずに済むことのできたのは、昔の街並みのおかげもあったかもしれない、と思ってしまう。
今のような街並みで、傷だらけなら、ただの負け組、ということでしかないからな。
(2008年3月記)