山手線池袋駅東口(ライオンズタワー池袋)

ライオンズタワー池袋

高田馬場駅から山手線で池袋駅へ。
西口に出る。
いつものような賑やかさ。
そして、季節は春。花曇。やっと寒い冬からは抜け出したようだな。
街の雰囲気もどこか華やいできている。
冬の頃のあの重苦しい、とげとげした、空気は、いつの間にかなくなっていて、くつろいだ、柔らかな感じが、満ち溢れている。
つい数週間前の冬の感覚なんて、もう実感がない。ずっと前から、こんなふうに暖かだったみたいだ。
そんなすっかり春めいた、池袋の街、サンシャイン60ストリートを歩いていく。
そういえば、いつ頃から、こうして、池袋の街を歩くようになったんだろう。
学生時代、通学路の途中ということで、よく寄ったのが、最初だ。
ということは、バブルが訪れる前ぐらいからかな。
訪れるのは、たいてい、西口の大きな本屋か東武デパートぐらいだったけど。
その頃のことで、今でもよく覚えているのは、東武デパートの屋上で演歌歌手の大川栄策がコンサートをやっていたことだな。
ちょうど通りかかっただけなんだけど。
なんとなく、池袋のデパートは、地方のデパートの中の一つ、として位置付けられているんだと、納得してしまった。
気候がよくなると、つい、のんびりした昔のことが思い出されてしまう。
サンシャイン60ストリートを歩いていくと、南北に伸びる大通りと、その上を覆っている、首都高の高架に行き当たる。
たぶん、ここらへんが、池袋の街の辺縁になっているのだろう。
この大通りを越えて、さらに東側に歩いていくと、急に静かな街並みになる。
サンシャインシティの北側へ出て、マンションの間を縫うように東に歩いていく。
しばらくするとライオンズタワー池袋がある。
失われた10年が終わった頃の竣工だ。
のんびりした、地方都市みたいだった池袋にも、このビル以降、あちこちに高層住宅が建ち始め、集積化していくのだ。
今日の春の気候のせいなのだろうか、それとも、目の前の高層住宅を見上げているせいなのだろうか。また、昔ののんびりした地方都市のような池袋を思い出してしまった。
(2008年4月記)