都営大江戸線青山一丁目駅(TK南青山ビル)

TK南青山ビル

西へ歩いていくと、神宮外苑の競技場の東側にいちょう並木が北へ伸びている。
いつも通るたびに、本当に絵になるような景観だと思っているのだが。
名前の通り、いちょうの大木が通りの両側に並んでいる。秋になったら、葉が色づき、さぞ美しい光景なのだろう。
このような施設は、いったい、いつ頃からできたのだろうか。
神宮外苑の神宮は、明治神宮のことだ。
つまり、明治神宮の関連施設として作られているはずだ。
ということは、明治、大正が終わり、昭和の時代に入った頃ではないだろうか。
この昭和の時代に入った頃、という時代は、同時に、都心で、大きな変化もおこっていたようだ。
住宅地が都心から外へ外へと、広がり始めていたのだ。郊外が誕生した、ということである。
そのことに連動するようにして、都心には、代わりに、このような施設が生まれたわけかな。
郊外、都心、という枠組みの産物、なのかもしれない。
都心が、居住以外の役割を持った、その結果が、美しい景観を持った神宮外苑を作りだしたのだ。
その産物が今になっても、訪れる者を惹きつけている。
そんな、いちょう並木の入口を通り、さらに、青山通りを西に歩いていく。
しばらくすると、青山通りの南側にTK南青山ビルがある。
バブル崩壊後の失われた10年、その後の都心集積化が始まる頃に竣工している。
このように、今では、どんどん都心へ集中してきている。
バブルの頃までは、外へ外へと、都市は拡大していき、都心の中心部には、いろいろな施設ができたのだが。
外側へ広がらないので、もう、施設ができることはないだろうな。
とすると、既存の施設は、都心が集積するたびに輝きを増していくのかもしれない。
例えば、神宮外苑のいちょう並木。
今年の秋、ひょっとして、以前にも増して、美しい景観だったら。
たぶん、そういうわけなんだろう。
(2008年4月記)