東西線九段下駅(ホテルグランドパレス)

ホテルグランドパレス

東西に伸びる大通りを今度は西へ。
再び日本橋川を渡り、南北に伸びる、目白通りに戻る。
目白通りの西側には、ホテルグランドパレスがある。
竣工は、高度成長期の終わり頃だ。
その頃、まだ、東京ドームなんてなかったな。その代わりに、飯田橋には、広大な貨物駅が広がっていた。
水道橋みたいな下町的な雰囲気だったかな。
でも、西南方向の台地は、山の手屈指の高級住宅地、番町、麹町がある。
だから、高級な高層ホテルが建ったのだろうか。
皇居、靖国神社も近い。
すぐそばの九段下駅には、東西線はすでに通っていたが、都営新宿線は、まだ開通していなかったかな。
そして、この高層ホテルが竣工した時期というのは、オイルショックは、あるのだけど、高度成長を達成するのは、あともう少しのところなのだ。
日本の安定期まで、あと少し。
ふと、バブルの頃、何回か、このホテルの喫茶店に寄ったことを思い出した。
窓越しに滝を模した噴水があったと記憶している。
さらに、たしかリムジンバスの時刻表があったのかな
自らを海外旅行者と錯覚させるには、十分だったなあ。
一緒に行った友人が、いたずらでフロントに、リムジンバスの時間について、ひつこく聞いていたことを、今になって、おかしく思い出す。
もう、最近は、そんなことは、まったくないなあ。
この目の前の高層ホテルが建った頃、すぐ手の届くところにあった未来は、もはや潰えてしまって、今はない、ということだな。
だけど、時代は変わっても、こうして、その頃の建物は残っている、というのは、ちょっと侘しい気分になってしまう。
しかも、今日でのんびりした休みは終わりだし。
もう、明日は、仕事なので、帰らなければ。
のんびりした時間、幸福な時間は、長くは続かないのだ。
(2008年4月記)