都営新宿線東大島駅北口(セーラ小松川10号棟)

セーラ小松川10号棟

曙橋駅で再び都営新宿線に乗る。
都営新宿線は、荒川の西岸に達したところで、地上に出る。出たところ、すぐに東大島駅がある。
この路線は、地下鉄なのだが、荒川を渡る部分だけは、地上の高架を走るのだ。荒川を鉄橋で越えるためなんだろうけど。
駅を降り、北口に出る。
一帯には、見渡す限り、団地棟が建ち並んでいる。
ニュータウン、というわけなのだが。
でも、バブルの前、安定期の頃ぐらいだろうか。その頃は、まだ、たしか、見渡す限り、下町と町工場が広がる、昭和の取り残された地域だったのだ。
都営新宿線が伸びてきて、その昭和の取り残された一帯は、全域で再開発されて、今のような、団地の建ち並ぶ風景に変貌したのだ。
バブルの頃、工事が本格化していて、その光景を見るために、何度もこの東大島駅に足を運んだものだ。
足を運ぶたびに、昭和の足り残された部分が消え、その場所に、新しい団地棟が建っていったなあ。
近未来が到来し、時代が替わるのではないかと、思っていたのだが。
建ち並ぶ団地棟の間を抜けて、北へと歩いていくと、セーラ小松川10号棟がある。
実は、この高層住宅が完成した後も、何度か来ているので、懐かしい、という程ではない。
けれど、駅を出て、団地棟に入っていくところに、スーパーがあったりして、その昔とは、変わらぬ風景を目にすると、感慨深いものがある。
ふと、まわりを見渡すと静かで誰もいない。
気のせいなのか、あの頃よりも、賑やかさがなくなって、ひっそりとしているような感じがする。
小雨が降り続いているからなのかもしれない。
それとも、あのバブルの頃の賑やかさを思い出して、そう感じてしまったのかもしれない。
(2008年5月記)