都営新宿線東大島駅南口(コーシャタワー小松川)

コーシャタワー小松川

また団地棟の間を抜けて、南へ歩き、東大島駅に戻る。
今度は、駅の南側へ行く。
こちらは、北口よりもやや遅れて、団地棟が建っている。
その団地棟を縫って、南へ歩いていくと、コーシャタワー小松川がある。
この高層住宅を見上げると、やっぱり、懐かしさを感じてしまう。
古い、といっても、まだ、それほど、年月が経っているわけではないんだけど。
ただ、あちこちに植わっている木々の緑がいかにも濃くて、よく茂っている様を見ると、やはり、流れた時間の長さを感じてしまうなあ。
今、歩いている、この古びた歩道の路面も、その上を、住民が何度も通って、いつしか、歩きやすくなった、そんな不思議な感じがする。
実際、そのようなことは、ないのだけど、敢えて言えば、生活が染み付いてきた、ということだろうか。
昭和の取り残された一帯が、再開発によって消滅し、近未来都市になる。そして、その近未来都市も、時間が経てば、こうして、古びていくのだな。
北へ歩き、再び、東大島駅へ。
ところで、この東大島駅の真下には、北から南へと、旧中川が流れているのだが、その旧中川は、江東区江戸川区の境にもなっている。
江戸時代、このあたりには、この旧中川しかなくて、地域の境界線になっていたのだが、その痕跡なのだろう。
当時の境界線、すなわち、旧中川の西側は、大島で、東側は、今の新小岩あたりまで、小松川だったらしいのだ。
小松川、といえば、小松菜で有名だが。
その小松菜の生産地には、大正時代に入って、隅田川に合流していた、荒川の大きな流れが、移されてくる。一帯は、東西に分断され、もう、のどかな、農村地帯ではなくなってしまったらしい。
そういう風に時代を遡って見ると、何が、新しくて、何が、古い、なんて考えるのは、無意味な感じがするな。
(2008年5月記)