日比谷線東銀座駅(NSビル(新橋演舞場))

NSビル(新橋演舞場)

時事通信ビルから南西方向に歩く。
すぐにNSビル(新橋演舞場)がある。
竣工は、高度成長期が終わった後の安定期の頃だ。
やっと世の中も豊かになって、落ち着いてきたので、ここらへんで、老朽化した劇場を建て替えよう、ということになったのかもしれない。
そこに、さらに、近くにある日産の本社ビル新館、という話が、その計画に乗っかったのかな。
そのような経緯があるとすると、ひょっとしたら、ビル名「NSビル」のNは、日産、で、Sは、新橋演舞場、ということなのかもしれない。
とにかく、このようにして、一帯は、オフィス街へと変貌してきたのだろう。
NSビルの低層階を占める新橋演舞場、についてであるが。
この新橋演舞場、というのは、もともとは、芸妓さんのための施設だったらしい。
一帯は、かつては、築地料亭街だったのだが、料亭がたくさんある、とすると、芸妓さんも少なからずいる、ということになる。
そういうことで、芸妓さんの踊りのための施設が作られたのだろう。
それが、いつしか、歌舞伎などの劇場として転用されていき、現在に到っているのだ。
もっとも、今でも、芸妓さんの踊りは、新橋演舞場で披露されている。
新橋演舞場の演目を調べていたら、載っていた。今年で84回目になるそうだ。
ただ、当時のように、芸妓さんの踊りの練習、という本来の目的は、もうないような気もするなあ。どうなんだろうか。
たぶん、歴史テーマパークのアトラクション、といった感じなのかな。
残っている料亭は、そんなにあるわけでもないだろうし。
芸妓さんの踊りの方は、伝統芸能、伝統文化の継承、ということで、こうして、残っていくのかもしれない。
つまり、築地料亭街が消滅しても、新橋演舞場などの舞台の上にだけ、かつての料亭街の華やかな雰囲気、文化が残る、ということだ。
(2008年5月記)