東西線東陽町駅北側(ホテルイースト21東京)

ホテルイースト21東京

東京イースト21タワーの南側には、ホテルイースト21東京がある。
東京イースト21タワーとは、ツインビルになっているが、高層オフィスビルと高層ホテル棟という、現在から見ると、考えられない組み合わせだ。
今だったら、高層住宅とそれより低めのオフィスビル、という組み合わせが普通だ。
バブル期ならではの発想なのだろう。
四つ目通りと葛西橋通りとの交差点から少し南に進むと、東京イースト21タワーとホテルイースト21東京との間にある、テラスのような敷地に上がれる、階段がある。
さっそく、階段を登っていったら、踊り場には大きな水溜り。
それほど激しい雨ではないけど、なんで、こんなところに、水が溜まってしまうのか。
これでは、歩くのに不便ではないか。
テラスに上がってみると、二棟の高層ビルに挟まれて、まるで、天井が吹き抜けになっている、巨大な建築物の中に入ったような錯覚を覚える。
つまり、このような仕掛けによって、人工的な空間をより大きく見せているのかもしれない。
なかなか凝った施設のデザインに感心してしまう。
だけど、そこには、誰もいないのだ。まわりを見渡しても、閑散としているばかり。
これでは、階段の踊り場に水溜りができても、もはや、誰も気にもとめないのだろうなあ。
せっかくの広大な施設なのだが、そもそも、駅から遠すぎる。
オープンした当初は、バブルの熱気の中、華々しく登場したのだろうが。
それが今では、バブルの遺産、レトロな施設になってしまったのか。
もっとも、地域に密着していて、逆に、静かで落ち着いていて、いいのかもしれない。
たしか、この場所は、江戸時代、六万坪、という埋立地だったはずだ。
江戸の街のゴミを、ここまで輸送してきて、海を埋立てた、ということだ。
まるで、昭和の時代の夢の島みたいだ。
そして、そこには、バブルの頃に、夢の施設が建ったわけか。
その夢の施設は、今、こうして、小雨の中、静かに佇んでいる。
夢からやっと開放されて、ほっとしているように見えるな。
(2008年5月記)