銀座線虎ノ門駅(新日鉱ビル)

新日鉱ビル

さきほどの桜田通りに戻り、また、北へと歩いていく。
愛宕山も尽き、六本木の台地も尽きたあたり、急に平野になるので、開けた感じになってくる。
そのようなところで、西に曲る。そのまま、西に進んでいく。
六本木の台地に沿って、麓を進んでいる、というところかな。
ただ、まだ台地は北の方に伸びているので、上り坂にはなっている。
その上り坂は、潮見坂、という坂だ。潮見坂、というのは、あちこちにあるけど。
少し歩いていくと、通りの西側に新日鉱ビルがある。
竣工は、バブルの頃。
バブルの熱狂の中、建ってしまった高層ビルなのだろう。
思わず、勇んで、高層ビルを建ててしまう、というのも、よくわかるなあ。
特に、資源を扱う企業なら、高度成長で蓄えた、豊富な資本があるので、なおさらだろう。
つまり、その豊富な資本により、世界資源の支配に乗り出した、ということだろうか。
しかし、あえなくバブルは崩壊してしまう。
ジャパンアズナンバーワン、というのは、所詮、夢、幻にすぎなかった、ということだな。
でも、新日鉱ビルの建っている場所よりも、高いところには、もっと、巨大な高層ビルが、今では、建っているのだが。
そっちの方のビルは、ジャパンアズナンバーワンではなくて、日本の中で、ナンバーワン争い(競争社会ということ)をした結果なんだろうな。
どちらにしても、似たようなものだ。
そのまま潮見坂を登りきると、アメリカ大使館がある。
最近は、アメリカもかなり傾いているらしい。ちょっと前からだと考えれられないな。
栄耀栄華も長くは続かない、ということだろう。
アメリカ大使館のあるあたりから、榎坂を下り、北へ向かうと、もう赤坂に着いてしまう。こうして、坂道を厭わずに歩けば、虎ノ門と赤坂は近いのだ。
江戸時代は、この榎坂を登りきると、その先に、海が見えたのだろう。だから、その先の坂を潮見坂といったのだな。
昔から、変わらないのは、本当に、この坂道だけなのかもしれない。
溜池山王駅から、もう、帰ろう。
そういえば、江戸時代、溜池山王駅があるあたりは、溜池があったのだ。その溜池も、駅名に名前を残すのみ。
時代は、流れていく。そして、過ぎ去ったものは、もう、再び、出会うことはない。
(2008年6月記)